2020年03月02日

事故原因考察と再発防止について

2/2に利尻山スキーガイド中に怪我をし、現在病院に入院、リハビリ中でございます。ゲストの命を預かる立場であるガイドがツアー中に怪我をするなど絶対にあってはならないことであり、責任を感じると共に、深く反省しております。多大なるご迷惑をおかけしましたこと心よりお詫び申し上げます。今回の件でもうガイドはやめようと思っていましたが、事故から約1ヶ月多く方から励ましのメッセージを頂き、少しずつ時間と共に心も回復してきました。もしガイドができるぐらい膝が回復しましたら、また一からガイドとして活動したいと思っております。以下に報告致します。

・事故概要
令和2年2月2日 13時20分
利尻山東エリア標高800m付近
ガイド2名ゲスト8名 計10名

 その日の滑走1本目、先頭で滑っている際に左足を笹にとられ転倒。左スキー解放、右スキー装着状態で2.3回転後停止。右膝周辺に痛み。ガイドAと無線で相談し、停止位置をリグループポイントに変更し10名集合。痛みはあるがゆっくり片足スキーで降りられるだろうと判断し、ガイドA1名でツアー続行、私一人で自力下山することにした。
 ガイドBに電話報告。電話後から痛みが急に強くなり、痛みからか時より体が震え出す。ブーツ骨折を疑い、ブーツシェルを脱ごうとするが痛みが強く断念。シーネで固定後、左スキーを装着し自力下山を開始するも約5mで痛み強く断念。ガイドBに再度連絡を取り、救助要請。ガイドAと無線で連絡を取り、ツアーを中止に。ガイドAはゲストと共に救助のため登り返しを始める。
 搬送に備え、防寒着を着込み、シーネの再固定、スキーにシールを貼り、レスキューシートを被り待機。ガイドA、ゲストと合流。梱包をゲストにも手伝って頂き、15時シート搬送開始。ガイドB率いる麓からの救助パーティと合流。標高350mまでシート搬送後モービル搬送。搬送終了18時10分。車で病院へ。

・事故原因と再発防止
1. 笹や細い灌木などのブッシュに対するリスク認識が甘くなっていた。
シーズン当初背丈を超える笹の間を縫い、時には手で払いよけながら滑っていた状況に慣れてしまい、積雪が増し3~40cm程度頭を出した笹への警戒心が薄くなったいた。

→「慣れ」を自覚し、リスクをしっかり認識する。人の命を預かっていることに慣れてはいけない。入山前の予想されるリスクの洗い出しと、下山後の振り返りを疎かにせずコツコツ続けていく。

2. 滑ることに集中していなかった。
降雪がしばらくなく部分的な風リセットを狙っての滑走斜面選びであったが、風の影響が予想よりも強く、この後の行動に迷いがあった。その迷いを滑走時にも引きずってしまっていた。

→まず何よりも目の前のゲスト、そして目の前の滑り集中すること。多くの情報を集め迷いながらもベストだと思うプランに更新していく、決断をしていくことが特にバックカントリーガイドの技術の一つだと思うので、できるだけ良い決断を早く行えるように場数を踏んでいくしかない。

3. ゲストを楽しませる力不足
2と繋がるところがあるが、風の影響を受けた面が多かったので、できることは標高を下げて緩斜面で柔らかい雪を探すこと。しかしガイドができることとゲストが求めているであろう斜面や雪とのギャップの開きにプレッシャーを感じていた。

→バックカントリーや登山は自然のリズムやコンディションに合わせて遊ぶことが重要であって、良いときもあれば難しいコンディションの時もある。難しいコンディションの時にこそ盛り上げてパーティを良い雰囲気にできる力を今後さらに身につけることができれば必要以上のプレッシャーを感じずに自分らしくガイドすることができると思う。

4. 滑走スピード
転倒したとしてもスピードが遅ければ怪我の程度を抑えられたのかもしれない。ガイド中は自分の感覚として、いつも7割ぐらいの力で滑っている。

→滑走技術のさらなる向上と、6割ぐらいの力で滑り絶対に転倒をしない。

5. ビンディングの解放
右スキーも解放していれば怪我を防げた可能性がある。

→今後は解放値を一つ下げて8にする

その他搬送時に感じたこと
・遠くから来て下さっているゲストに申し訳なく、その場でツアーを中止し救助という判断ができず、結果的に下山が18時を過ぎてしまった。2次遭難のリスクを下げるためにも冷静な判断が必要であった。
・地形や植生、日没までの時間など搬送方法を決める要素は多くあるが、要救の容体、怪我の場所や程度もしっかり搬送方法の決定の際に考慮する必要がある。(ガイドAの判断は背負い搬送だったが、痛みが強く、背負われるイメージがわかなかったためシート搬送をお願いした。すぐにプラン変更したガイドAは素晴らしいと思った。)
・ホットパックの2つ目を下腹部に入れたのがすごく良かった。もう一つは胸。
・要救は自分で食べられないので休憩の度に必ず何か食べさせることが大事。
・要救に状況を伝えることで不安を軽減できる(標高何mまできたよ、何mトラバースするよ等)

ガイド自傷事故に限らず、その他事故も起こさないよう、この度の失敗を真摯に受け止め、安全第一に努めて参ります。

2020年03月02日 | Posted in その他 | | 2 Comments » 

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コメント2件

  • 柴田 欣子 より:

    こんにちは❗️。
    写真を見てビックリしました。
    年始に村田とお世話になった柴田です。
    大変な経験をされたんですね。プロとして、自分を許せない気持ちもあるかと思いますが、ゲストの方が怪我をされなかったのが一番でしたね。
    あ、私は数年前に捻挫しましたが、誰のせいでもないと思ってます。村田も圧迫骨折しましたが、楽しそうにコルセットを付けてました。
    全てが自分の経験になって、私は気をつけてスキーをしようって思えています。
    また、利尻島におじゃました時には是非とも佐々木さんのガイドでお願いしたいです。
    リハビリ頑張ってください。
    奥様はきっと側に居られて嬉しいですね。

    • 佐々木翔平 より:

      柴田さん、村田さん、ご無沙汰しております。
      コメントして頂きありがとうございます。
      お陰様で順調に経過しています。
      スキーができるようリハビリ頑張ります。
      また利尻にいらしたときには是非ガイドさせて下さい!!
      よろしくお願いします。

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